2016年11月23日水曜日

限界

ここ三日ほどの記憶がない。

今月から再開する予定だった生活保護は、無理になった。月初に相談した時点で、役所のケースワーカーがきちんと説明してくれていれば、それはわかることだった。つまり無理になったとうか、初めから無理だったのだ。にもかかわらず、生活保護再開を前提にその後のスケジュールを組んだ。11 月半ば、再開のための準備が整い、二度目の相談の電話を掛けたタイミングで、無理なことが発覚した。ボクは自分も含めて、無能な人間が嫌いだ。嫌いというか、一切の価値を感じない。ケースワーカーは無能で(というか加えて多分保護再開させまいという悪意があった、よくある話だ)今後の生活に深く関わる問題を引き起こしてくれた。引き起こしたというか前提条件を無かったことにされた。この時点で、諸々の予定は全て狂った。保護再開のための準備も全て無駄になった。

最初はそのふざけた現実に怒ってもいたけれど、次第に「何も」感じなくなった。体の痛みも含めて、全てが遠く感じた。体もかなり限界に近かったけれど、心の方も知らないうちに限界だったみたいだ。
思い返せば 11 月に入った辺りから、自分はおかしかった。自覚がなかったわけではないけれど、そこまで重要視していなかった。体の痛みは、そのままストレスとして心にもダメージを与える。結果として、情緒不安定になることはこれまでにもあった。その経験があったから、最初はまた「いつものこと」だと思った。アニメでも見て寝ればすぐ収まると思っていた。

その状態が収ることもなく二日ほど続いた時点で、事の異常さと重大さに気づいた。明らかにまともじゃない。二日も続くことなんて、これまでにはなかった。
三日目くらにに、これではまずいと思って無理矢理に意識を現実に引き戻した。少しずつでいいので、元の生活に戻らないと、予定もあったし現実にも問題だった。何も受け付けなかった心は、少しずつ痛みや怒りを覚えるようになった。

そんなギリギリの状態で、人と会う予定をこなしに外出した。本来の目的は、今後について相談したいことがあったからなのだけれど、なんとか自分を保つので限界だった。まともに保てていたかどうかも怪しい。何の目的も果たせずに万世でハンバーグを食べて、とりとめもない会話をして…できてなかった気がする、兎に角それで終わってしまった。

ここで「本当の」限界がきた、のだと思う。万世から帰宅してからことを、何も覚えていない。推測だけれど、全てが遠く、何も感じなくなっていたのは、心の自衛だったのだろう。それなのに無理をしようとした。結果、脳がこれ以上、心身を疲弊させまいとしたのだと思う。結果として、考えることも動くこともできなくなった。極度の喉の乾きに耐えられず水を飲んだことと、ついでになんとか薬を飲んだことだけは覚えている。薬を落としたことも思い出した。

時間感覚もなくなって、一日二日くらいと思っていたら、三日経過していたらしい。つまり今だ。携帯の充電ができていなかったのもよくなかった。こんこんと眠り(睡眠とはほど遠い状態な気がするけど)続けていたら、来客を知らせるチャイムがなった。ボクの病気の良いところ(悪いところでもある)は、どんなに痛くても気合いで動こうと思えば動けるところだ。無視する選択肢もあったはずだけれど、無視すべきかどうかの判断もできなくなっていたので、体が先に動いていた。

鍵を開けたら急に玄関が空いた。急に開けられると思っていなかったので、そのままつんのめって倒れそうになったところを、来訪者に支えられた。顔を見ても、数瞬誰が来たのか分からなかったくらいだから、相当酷い状態だったのは間違いない。
来たのは元同僚だった。三日も連絡が取れなくなっていたのを心配してきてくれたのだ。状況がわかった今と違い、何もわかっていなかったボクは、完全に混乱していた。何故いるのか、全く分からなかった。理由はすぐに本人の口から少し語られた。そこではじめて、心配されていることにようやく気づいた。ボクは兎に角心配させまいとして、あれこれ適当に返答して、帰してしまった、気がする。今日のことなのに、どんなやりとりをしたのかはっきりとは覚えられていない。
悪い癖だ。最悪だ。心配させたくないのはいつもそうだから仕方ない。しかし、自分の状況もわかっていない癖に、大丈夫だと言いはってしまった。相手の気持ちなんて何も考えずに、強引に帰らせてしまった。いくらボクでも、玄関が空いたくらいで倒れそうになったりしない。覚えていないけれど、鍵が開くと同時に思いきり開けられたのだろう。家に来るだけでも相当だ。それだけの心配をかけてしまっていたのに、ボクは混乱して、失敗した。

その事実に気づいたのは、帰してからベッドの上で呆けて、暫くたってからだった。酷いことをしてしまったと気づいた。とんでもなく酷いことをしてしまった。相手の親切心を一方的に無下にした。案外、自分が思ってるよりも大したことじゃなかったのではないかと考えて、その自分勝手さを恥じた。本気で死にたくなった。病気がどんなに辛くても本気で死にたいと思ったことなんて一度もない。病気のせいで、自分のせいで他人に迷惑をかけることの方が、ずっとしんどい。

さすがにいい大人なので、いつまでも泣いている場合ではないことくらいは分かっていたので、適当に生存報告をツイッターにして、一先ず休んで、今に至る。

まだ心身ともに休息が必要なことはわかっているけれど、これだけは残しておきたかった。こうやって文章に残して戒めても、また失敗するんだろうけど。
もう寝る。フリック操作するても限界だ。